俳人 : 小林一茶 （こばやし いっさ）

• 春立つや愚の上に又愚にかへる
     はるたつや ぐのうえにまた ぐにかえる
• 立春    りっしゅん
  季節: 春（初春） 分類: 時候（暦）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.134

• 観音の鳩にとくなれ馬糞鷹
     かんのんの はとにとくなれ まぐそだか
• 鷹化して鳩と為る    たかかしてはととなる
  季節: 春（仲春） 分類: 時候（暦）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.170

• 飛鶉鼠のむかし忘るゝな
     とぶうずら ねずみのむかし わするるな
• 田鼠化して鶉と為る    でんそかしてうずらとなる
  季節: 春（晩春） 分類: 時候（暦）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.250

• 丸にのゝ字の壁見えて暮遅き
     まるにのの じのかべみえて くれおそき
• 遅日    ちじつ
  季節: 春（三春） 分類: 時候（感覚）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.45

• 日が永い／ ＼とのらりくらりかな
     ひがながい ながいとのらり くらりかな
• 日永    ひなが
  季節: 春（三春） 分類: 時候（感覚）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.159

• 長閑さや障子のそなたこなたかな
     のどかさや しょうじのそなた こなたかな
• 長閑    のどか
  季節: 春（三春） 分類: 時候（感覚）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.28

• 三日月はそるぞ寒はさえかへる
     みかづきは そるぞさむさは さえかえる
• 冴返る    さえかえる
  季節: 春（初春） 分類: 時候（感覚）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.80

• 婆ゝがつく鐘もうつすり霞むかな
     ばばがつく かねもうっすり かすむかな
• 鐘霞む    かねかすむ
  季節: 春（三春） 分類: 天文（天空）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.38

• 陽炎やわらで足ふく這入口
     かげろうや わらであしふく はいりぐち
• 陽炎    かげろう
  季節: 春（三春） 分類: 天文（光）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.149

• 朝漬のあさあさしさや春の霜
     あさづけの あさあさしさや はるのしも
• 春の霜    はるのしも
  季節: 春（三春） 分類: 天文（水）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.49

• 降暮し／ ＼けり春の山
     ふりくらし ふりくらしけり はるのやま
• 春の山    はるのやま
  季節: 春（三春） 分類: 地理（山野）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.106

• 雪汁のしの字に曲るかきねかな
     ゆきじるの しのじにまがる かきねかな
• 雪しろ    ゆきしろ
  季節: 春（初春） 分類: 地理（山野）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.204

• 鷺烏雀の水もぬるみけり
     さぎからす すずめのみずも ぬるみけり
• 水温む    みずぬるむ
  季節: 春（仲春） 分類: 地理（水辺）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.107

• 山焼の明りに下る夜舟かな
     やまやきの あかりにくだる よぶねかな
• 山焼く    やまやく
  季節: 春（初春） 分類: 人事（行事）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.85

• 手のひらにかざつて見るや市の雛
     てのひらに かざってみるや いちのひな
• 雛市    ひないち
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（行事）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.99

• 二渡し越えて田を打ひとりかな
     ふたわたし こえてたをうつ ひとりかな
• 田打    たうち
  季節: 春（三春） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.130

• さし柳翌は出て行く庵也
     さしやなぎ あすはでていく いおりなり
• 挿木    さしき
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.144

• 世にあれば蕣もまくばかりなり
     よにあれば あさがおもまく ばかりなり
• 花種蒔く    はなだねまく
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（労働）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.215

• ふらんどにすり違ひけりむら乙鳥
     ふらんどに すりちがいけり むらつばめ
• 鞦韆    しゅうせん
  季節: 春（三春） 分類: 人事（娯楽）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.121

• 菱餅や雛なき宿もなつかしき
     ひしもちや ひななきやども なつかしき
• 菱餅    ひしもち
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（飲食）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.375

• 西行に御宿申さんうこぎ飯
     さいぎょうに おやどもうさん うこぎめし
• 五加飯    うこぎめし
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（飲食）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.243

• 尻餅もやすらひ花よ休らひよ
     しりもちも やすらいばなよ やすらいよ
• 安良居祭    やすらいまつり
  季節: 春（晩春） 分類: 宗教（神道）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.359

• むさし野や只一つ家のうかれ猫
     むさしのや ただひとつやの うかれねこ
• 猫の恋    ねこのこい
  季節: 春（初春） 分類: 動物（哺乳類）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.322

• さをしかに手拭かさん角の迹
     さおしかに てぬぐいかさん つののあと
• 落し角    おとしづの
  季節: 春（晩春） 分類: 動物（哺乳類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.136

• 鍬の柄に鶯鳴くや小梅村
     くわのえに うぐいすなくや こうめむら
• 鶯    うぐいす
  季節: 春（三春） 分類: 動物（鳥類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.94

• 鳥の巣のあり／＼みゆる榎かな
     とりのすの ありありみゆる えのきかな
• 鳥の巣    とりのす
  季節: 春（三春） 分類: 動物（鳥類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.198

• 我と来てあそべや親のない雀
     われときて あそべやおやの ないすずめ
• 雀の子    すずめのこ
  季節: 春（晩春） 分類: 動物（鳥類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.218

• 雀の子そこのけそこのけ御馬が通る
     すずめのこ そこのけそこのけ おうまがとおる
• 雀の子    すずめのこ
  季節: 春（晩春） 分類: 動物（鳥類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.218

• けつこうな御世とや蛇も穴を出る
     けっこうな みよとやへびも あなをでる
• 蛇穴を出づ    へびあなをいづ
  季節: 春（仲春） 分類: 動物（爬虫類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.180

• 痩蛙まけるな一茶是にあり
     やせがえる まけるないっさ これにあり
• 蛙    かわず
  季節: 春（晩春） 分類: 動物（両生類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.240

• 塊も心おくかよ巣立鳥
     つちくれも こころおくかよ すだちどり
• 巣立    すだち
  季節: 春（晩春） 分類: 動物（昆虫等）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.371

• うつるとも花見虱ぞよしの山
     うつるとも はなみしらみぞ よしのやま
• 花見虱    はなみじらみ
  季節: 春（晩春） 分類: 動物（昆虫等）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.255

• たらの芽のとげだらけでも喰はれけり
     たらのめの とげだらけでも くわれけり
• 楤の芽    たらのめ
  季節: 春（仲春） 分類: 植物（セリ目）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.171

• 我国は草も桜を咲きにけり
     わがくには くさもさくらを さきにけり
• 桜草    さくらそう
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（ツツジ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.305

• 藪尻の賽銭箱や梅の花
     やぶじりの さいせんばこや うめのはな
• 梅    うめ
  季節: 春（初春） 分類: 植物（バラ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.91

• 棒突も餅を売りけり山桜
     ぼうつきも もちをうりけり やまざくら
• 山桜    やまざくら
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（バラ目）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.455

• 蕗の葉に煮〆配りて山桜
     ふきのはに にしめくばりて やまざくら
• 山桜    やまざくら
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（バラ目）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.455

• 山椒をつかみ込んだる小なべかな
     さんしょうを つかみこんだる こなべかな
• 山椒の芽    さんしょうのめ
  季節: 春（仲春） 分類: 植物（ムクロジ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.137

• 鎌倉の見える山なり蕨とる
     かまくらの みえるやまなり わらびとる
• 蕨    わらび
  季節: 春（仲春） 分類: 植物（羊歯類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.152

• 石畳つぎ目つぎ目や草青む
     いしだたみ つぎめつぎめや くさあおむ
• 下萌    したもえ
  季節: 春（初春） 分類: 植物（総称）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.195

• 門の草芽出すやいなやむしらるゝ
     かどのくさ めだすやいなや むしらるる
• 草の芽    くさのめ
  季節: 春（仲春） 分類: 植物（総称）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.193

• わか草にどた／＼馬の灸かな
     わかくさに どたどたうまの やいとかな
• 若草    わかくさ
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（総称）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.204

• 戸口から青水無月の月夜かな
     とぐちから あおみなづきの つきよかな
• 水無月    みなづき
  季節: 夏（晩夏） 分類: 時候（暦）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　夏
     p.29

• 大の字に寝て涼しさよ淋しさよ
     だいのじに ねてすずしさよ さびしさよ
• 涼し    すずし
  季節: 夏（三夏） 分類: 時候（感覚）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　夏
     p.35

• 露ちりて急にみじかくなる夜哉
     つゆちりて きゅうにみじかく なるよかな
• 短夜    みじかよ
  季節: 夏（三夏） 分類: 時候（感覚）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.28

• 夏の雲朝からだるう見えにけり
     なつのくも あさからだるう みえにけり
• 夏の雲    なつのくも
  季節: 夏（三夏） 分類: 天文（天空）
• 増補版 いちばんわかりやすい 俳句歳時記
     p.132

• 炎天に蓼食ふ虫の機嫌かな
     えんてんに たでくうむしの きげんかな
• 炎天    えんてん
  季節: 夏（晩夏） 分類: 天文（天空）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.436

• 正直に梅雨雷の一つかな
     しょうじきに つゆかみなりの ひとつかな
• 梅雨雷    つゆかみなり
  季節: 夏（仲夏） 分類: 天文（光）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.333

• 子のぶんを母いたゞくや嘉定食
     このぶんを ははいただくや かじょうぐい
• 嘉定食    かじょうぐい
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（行事）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.407

• ちりの身とともにふは／＼紙帳哉
     ちりのみと ともにふわふわ しちょうかな
• 紙帳    しちょう
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.183