俳人 : 夏目漱石 （なつめ そうせき）

• 濃かに弥生の雲の流れけり
     こまやかに やよいのくもの ながれけり
• 弥生    やよい
  季節: 春（晩春） 分類: 時候（暦）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.59

• 永き日や欠伸うつして別れ行く
     ながきひや あくびうつして わかれゆく
• 日永    ひなが
  季節: 春（三春） 分類: 時候（感覚）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.29

• 人に死し鶴に生れて冴え返る
     ひとにしし つるにうまれて さえかえる
• 冴返る    さえかえる
  季節: 春（初春） 分類: 時候（感覚）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.11

• ちら／＼と陽炎立ちぬ猫の塚
     ちらちらと かげろうたちぬ ねこのつか
• 陽炎    かげろう
  季節: 春（三春） 分類: 天文（光）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.46

• 忘れしか知らぬ顔して畠打つ
     わすれしか しらぬかおして はたけうつ
• 畑打    はたうち
  季節: 春（三春） 分類: 人事（労働）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.11

• 鶯や障子あくれば東山
     うぐいすや しょうじあくれば ひがしやま
• 鶯    うぐいす
  季節: 春（三春） 分類: 動物（鳥類）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.52

• 飯蛸の一かたまりや皿の藍
     いいだこの ひとかたまりや さらのあい
• 飯蛸    いいだこ
  季節: 春（三春） 分類: 動物（水生生物）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.147

• 菜の花の遥かに黄なり筑後川
     なのはなの はるかにきなり ちくごがわ
• 菜の花    なのはな
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（アブラナ目）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　春
     p.178

• 菫程な小さき人に生れたし
     すみれほどな ちいさきひとに うまれたし
• 菫    すみれ
  季節: 春（三春） 分類: 植物（キントラノオ目）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.12

• 尼寺や彼岸桜は散りやすき
     あまでらや ひがんざくらは ちりやすき
• 彼岸桜    ひがんざくら
  季節: 春（仲春） 分類: 植物（バラ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.185

• 海棠の露をふるふや物狂
     かいどうの つゆをふるうや ものぐるい
• 海棠    かいどう
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（バラ目）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.464

• 短夜の芭蕉は伸びて仕まひけり
     みじかよの ばしょうはのびて しまいけり
• 短夜    みじかよ
  季節: 夏（三夏） 分類: 時候（感覚）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.10

• 灯を消せば涼しき星や窓に入る
     ひをけせば すずしきほしや まどにいる
• 夏の星    なつのほし
  季節: 夏（三夏） 分類: 天文（天空）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.57

• ほの／"＼と舟押し出すや蓮の中
     ほのぼのと ふねおしだすや はすのなか
• 蓮見    はすみ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（行事）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　夏
     p.111

• 蓮の葉に蜘蛛下りけり香を焚く
     はすのはに くもくだりけり こうをたく
• 蜘蛛    くも
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.505

• 叩かれて昼の蚊を吐く木魚哉
     たたかれて ひるのかをはく もくぎょかな
• 蚊    か
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.10

• 月なゝめたけのこたけになりにけり
     つきななめ たけのこたけに なりにけり
• 筍    たけのこ
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（イネ目）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.625

• 淋しくもまた夕顔のさかりかな
     さびしくも またゆうがおの さかりかな
• 夕顔    ゆうがお
  季節: 夏（晩夏） 分類: 植物（ウリ目）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.700

• 洪水のあとに色なき茄子かな
     こうずいの あとにいろなき なすびかな
• 茄子    なすび
  季節: 夏（晩夏） 分類: 植物（ナス目）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.16

• 玻璃盤に露のしたゝる苺かな
     はりばんに つゆのしたたる いちごかな
• 苺    いちご
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（バラ目）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.739

• 十月のしぐれて文も参らせず
     じゅうがつの しぐれてふみも まいらせず
• 十月    じゅうがつ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 時候（暦）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　秋
     p.266

• 冷かや人寝静まり水の音
     ひややかや ひとねしずまり みずのおと
• 冷やか    ひややか
  季節: 秋（仲秋） 分類: 時候（感覚）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.16

• 手向くべき線香もなくて暮の秋
     たむくべき せんこうもなくて くれのあき
• 暮の秋    くれのあき
  季節: 秋（晩秋） 分類: 時候（感覚）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.14

• 秋寒し此頃あるゝ海の色
     あきさむし このごろあるる うみのいろ
• やや寒    ややさむ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 時候（感覚）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.29

• 月に行く漱石妻を忘れたり
     つきにゆく そうせきつまを わすれたり
• 月    つき
  季節: 秋（三秋） 分類: 天文（天空）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.12

• 別るゝや夢一筋の天の川
     わかるるや ゆめひとすじの あまのがわ
• 天の川    あまのがわ
  季節: 秋（初秋） 分類: 天文（天空）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.14

• 名月や故郷遠き影法師
     めいげつや ふるさととおき かげぼうし
• 名月    めいげつ
  季節: 秋（仲秋） 分類: 天文（天空）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.9

• 秋風に唐紅の咽喉仏
     あきかぜに からくれないの のどぼとけ
• 秋風    あきかぜ
  季節: 秋（三秋） 分類: 天文（風）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.15

• 秋風やひゞの入りたる胃の袋
     あきかぜや ひびのいりたる いのふくろ
• 秋風    あきかぜ
  季節: 秋（三秋） 分類: 天文（風）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.15

• 秋の江に打ち込む杭の響かな
     あきのえに うちこむくいの ひびきかな
• 秋の川    あきのかわ
  季節: 秋（三秋） 分類: 地理（水辺）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.15

• 秋の川真白な石を拾ひけり
     あきのかわ ましろないしを ひろいけり
• 秋の川    あきのかわ
  季節: 秋（三秋） 分類: 地理（水辺）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.13

• 化学とは花火を造る術ならん
     かがくとは はなびをつくる じゅつならん
• 花火    はなび
  季節: 秋（初秋） 分類: 人事（行事）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.13

• 人に言へぬ願の糸の乱れかな
     ひとにいえぬ ねがいのいとの みだれかな
• 願の糸    ねがいのいと
  季節: 秋（初秋） 分類: 人事（生活）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.11

• 引かで鳴る夜の鳴子の淋しさよ
     ひかでなる よるのなるこの さびしさよ
• 鳴子    なるこ
  季節: 秋（三秋） 分類: 人事（労働）
• 増補版 いちばんわかりやすい 俳句歳時記
     p.271

• ある時は新酒に酔うて悔多き
     あるときは しんしゅにようて くいおおき
• 新酒    しんしゅ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 人事（飲食）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.418

• 蕎麦太きもてなし振りや鹿の声
     そばふとき もてなしぶりや しかのこえ
• 鹿    しか
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（哺乳類）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　秋
     p.107

• たゞ一羽来る夜ありけり月の雁
     ただいちは くるよありけり つきのかり
• 雁    かり
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（鳥類）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.16

• 逝く人に留まる人に来る雁
     ゆくひとに とどまるひとに きたるかり
• 雁    かり
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（鳥類）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.16

• 虫遠近病む夜ぞ静なる心
     むしおちこち やむよぞしずか なるこころ
• 虫    むし
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.15

• 秋の蚊の鳴かずなりたる書斎かな
     あきのかの なかずなりたる しょさいかな
• 秋の蚊    あきのか
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 平井照敏編 新歳時記 秋
     p.223

• 蜻蛉の夢や幾度杭の先
     とんぼうの ゆめやいくたび くいのさき
• 蜻蛉    とんぼ
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.15

• 生きて仰ぐ空の高さよ赤蜻蛉
     いきてあおぐ そらのたかさよ あかとんぼ
• 赤蜻蛉    あかとんぼ
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 新版 角川俳句大歳時記 秋
     p.500

• きり／"＼すの昔を忍び帰るべし
     きりぎりすの むかしをしのび かえるべし
• 螽斯    きりぎりす
  季節: 秋（初秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.14

• 鳴き立てゝつく／＼法師死ぬる日ぞ
     なきたてて つくつくぼうし しぬるひぞ
• 法師蝉    つくつくぼうし
  季節: 秋（初秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.413

• 反橋の小さく見ゆる芙蓉かな
     そりはしの ちいさくみゆる ふようかな
• 芙蓉    ふよう
  季節: 秋（初秋） 分類: 植物（アオイ目）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.136

• 招かざる薄に帰り来る人ぞ
     まねかざる すすきにかえり くるひとぞ
• 芒    すすき
  季節: 秋（三秋） 分類: 植物（イネ目）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.14

• 取り留むる命も細き薄かな
     とりとむる いのちもほそき すすきかな
• 芒    すすき
  季節: 秋（三秋） 分類: 植物（イネ目）
• 日本の詩歌 30 俳句集
     p.15

• 有る程の菊抛げ入れよ棺の中
     あるほどの きくなげいれよ かんのなか
• 菊    きく
  季節: 秋（三秋） 分類: 植物（キク目）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.440

• 仏性は白き桔梗にこそあらめ
     ぶっしょうは しろきききょうに こそあらめ
• 桔梗    ききょう
  季節: 秋（初秋） 分類: 植物（キク目）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.215

• 鶏頭の黄色は淋し常楽寺
     けいとうの きいろはさびし じょうらくじ
• 鶏頭    けいとう
  季節: 秋（三秋） 分類: 植物（ナデシコ目）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.181