俳人 : 高浜虚子 （たかはま きょし）

• 筆を噛んでいまだ書かざる妹の春
     ふでをかんで いまだかかざる いものはる
• 春    はる
  季節: 春（三春） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.73

• 川添ひの片頬つめたき二月かな
     かわぞいの かたほつめたき にがつかな
• 二月    にがつ
  季節: 春（初春） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.74

• 六十の寒が明けたる許りなり
     ろくじゅうの かんがあけたる ばかりなり
• 寒明    かんあけ
  季節: 春（初春） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.74

• 枯れ枝に初春の雨の玉円か
     かれえだに しょしゅんのあめの たままどか
• 初春（春）    しょしゅん
  季節: 春（初春） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.74

• 啓蟄の蟻が早引く地虫かな
     けいちつの ありがはやひく じむしかな
• 啓蟄    けいちつ
  季節: 春（仲春） 分類: 時候（暦）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.169

• 霜害を恐れ八十八夜待つ
     そうがいを おそれはちじゅう はちやまつ
• 八十八夜    はちじゅうはちや
  季節: 春（晩春） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.233

• 西山の山寺にあり春一日
     にしやまの やまでらにあり はるひとひ
• 春の日（一日）    はるのひ
  季節: 春（三春） 分類: 時候（時間）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.26

• 鎌倉を驚かしたる余寒あり
     かまくらを おどろかしたる よかんあり
• 余寒    よかん
  季節: 春（初春） 分類: 時候（感覚）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.81

• 春めける山河消え去る夕かげり
     はるめける さんがきえさる ゆうかげり
• 春めく    はるめく
  季節: 春（仲春） 分類: 時候（感覚）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.132

• この里の苗代寒むといへる頃
     このさとの なわしろさむと いえるころ
• 苗代寒    なわしろさむ
  季節: 春（晩春） 分類: 時候（感覚）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.199

• 朧夜の伊達にともしぬ小提灯
     おぼろよの だてにともしぬ こちょうちん
• 朧月夜    おぼろづきよ
  季節: 春（三春） 分類: 天文（天空）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.37

• 春塵や少し枯れたる木賊叢
     しゅんじんや すこしかれたる とくさむら
• 春塵    しゅんじん
  季節: 春（三春） 分類: 天文（天空）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.51

• 立騒ぎ乗る船人や東風の浜
     たちさわぎ のるふなびとや こちのはま
• 東風    こち
  季節: 春（三春） 分類: 天文（風）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.105

• 春雷や女ばかりの雛の家
     しゅんらいや おんなばかりの ひなのいえ
• 春雷    しゅんらい
  季節: 春（三春） 分類: 天文（光）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.104

• 袖に来て遊び消ゆるや春の雪
     そでにきて あそびきゆるや はるのゆき
• 春の雪    はるのゆき
  季節: 春（三春） 分類: 天文（水）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.103

• 大木を離れて根這ふ春の土
     たいぼくを はなれてねはう はるのつち
• 春の土    はるのつち
  季節: 春（三春） 分類: 地理（山野）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.50

• 物陰の椿は久し春の庭
     ものかげの つばきはひさし はるのにわ
• 春園    しゅんえん
  季節: 春（三春） 分類: 地理（山野）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.111

• 焼山の夕べ淋しや知らぬ鳥
     やけやまの ゆうべさびしや しらぬとり
• 焼山    やけやま
  季節: 春（初春） 分類: 地理（山野）
• 新潮文庫 新改訂版 俳諧歳時記 春
     p.59

• 春の海入り込みこゝを油壷
     はるのうみ いりこみここを あぶらつぼ
• 春の海    はるのうみ
  季節: 春（三春） 分類: 地理（水辺）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.186

• 春潮といへば必ず門司を思ふ
     しゅんちょうと いえばかならず もじをおもう
• 春潮    しゅんちょう
  季節: 春（三春） 分類: 地理（水辺）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.52

• 裏木戸は春川沿ひの径に出て
     うらきどは はるかわぞいの みちにでて
• 春の川    はるのかわ
  季節: 春（三春） 分類: 地理（水辺）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.78

• 雪残る山そこにあり春出水
     ゆきのこる やまそこにあり はるでみず
• 春出水    はるでみず
  季節: 春（仲春） 分類: 地理（水辺）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.204

• これよりは恋や事業や水温む
     これよりは こいやじぎょうや みずぬるむ
• 水温む    みずぬるむ
  季節: 春（仲春） 分類: 地理（水辺）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.50

• 絵踏して生きのこりたる女かな
     えぶみして いきのこりたる おんなかな
• 絵踏    えぶみ
  季節: 春（初春） 分類: 人事（行事）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.76

• 一を知つて二を知らぬなり卒業す
     いちをしって 二をしなるなり そつぎょうす
• 卒業    そつぎょう
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（行事）
• 平井照敏編 新歳時記 春
     p.70

• 大試験山の如くに控へたり
     だいしけん やまのごとくに ひかえたり
• 大試験    だいしけん
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（行事）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.111

• 遅き妓は東をどりの出番とや
     おそきこは あずまおどりの でばんとや
• 東踊    あずまおどり
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（行事）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.165

• 当らざる春の火燵の唯熱し
     あたらざる はるのこたつの ただあつし
• 春炬燵    はるごたつ
  季節: 春（三春） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.123

• 美しき眉をひそめて朝寝かな
     うつくしき まゆをひそめて あさねかな
• 朝寝    あさね
  季節: 春（三春） 分類: 人事（生活）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.89

• 雁風呂や海荒るゝ日は焚かぬなり
     がんぶろや うみあるるひは たかぬなり
• 雁風呂    がんぶろ
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.118

• 張合ひのありし暮しの目貼はぐ
     はりあいの ありしくらしの めばりはぐ
• 目貼剥ぐ    めばりはぐ
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.121

• 霜除をとりし牡丹のうひうひし
     しもよけを とりしぼたんの ういういし
• 霜除解く    しもよけとく
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（生活）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.343

• 耕の鍬さしのべてこちを見る
     たがやしの くわさしのべて こちをみる
• 耕    たがやし
  季節: 春（三春） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.130

• あち歩きこち歩きして萩根分
     あちあるき こちあるきして はぎねわけ
• 萩根分    はぎねわけ
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.135

• さし木して我に後無き思ひかな
     さしきして われにあとなき おもいかな
• 挿木    さしき
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.144

• 与太郎が来て居り胡瓜蒔きつらん
     よたろうが きておりきゅうり まきつらん
• 胡瓜蒔く    きゅうりまく
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.133

• 根分せるもの何々ぞ百花園
     ねわけせる ものなになにぞ ひゃっかえん
• 根分    ねわけ
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（労働）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.217

• 芋植ゑて円なる月を掛けにけり
     いもうえて まどかなるつきを かけにけり
• 芋植う    いもうう
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.134

• 生えずともよき朝顔を蒔きにけり
     はえずとも よきあさがおを まきにけり
• 朝顔蒔く    あさがおまく
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.232

• 病にも色あらば黄や春の風邪
     やまいにも いろあればきや はるのかぜ
• 春の風邪    はるのかぜ
  季節: 春（三春） 分類: 人事（健康）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.126

• 先人も惜みし命二日灸
     せんじんも おしみしいのち ふつかきゅう
• 二日灸    ふつかきゅう
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（健康）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.98

• 曲水や草に置きたる小盃
     きょくすいや くさにおきたる こさかずき
• 曲水    きょくすい
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（娯楽）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.102

• 小弓引的を桜にうつしけり
     こゆみひき まとをさくらに うつしけり
• 小弓引    こゆみひき
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（娯楽）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.374

• 絵襖の古き牡丹に利茶かな
     えぶすまの ふるきぼたんに ききちゃかな
• 利茶    ききちゃ
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（芸術）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.345

• 夕日影競漕赤の勝ちとかや
     ゆうひかげ きょうそうあかの かちとかや
• ボートレース    ぼーとれーす
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（スポーツ）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.214

• 白酒の紐の如くにつがれけり
     しろざけの ひものごとくに つがれけり
• 白酒    しろざけ
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（飲食）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.101

• 田楽もかたき豆腐にかたき味噌
     でんがくも かたきとうふに かたきみそ
• 田楽    でんがく
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（飲食）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.138

• 草深く青ぬた食すや中納言
     くさふかく あおぬためすや ちゅうなごん
• 青饅    あおぬた
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（飲食）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.138

• ほろ／＼と泣き合ふ尼や山葵漬
     ほろほろと なきあうあまや わさびづけ
• 山葵漬    わさびづけ
  季節: 春（仲春） 分類: 人事（飲食）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.163

• いと軽き石のおもしや桜漬
     いとかるき いしのおもしや さくらづけ
• 桜漬    さくらづけ
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（飲食）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.185