俳人 : 高浜虚子 （たかはま きょし）

• ものの芽のあらはれ出でし大事かな
     もののめの あらわれいでしだいじかな
• ものの芽    もののめ
  季節: 春（仲春） 分類: 植物（総称）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.127

• 古草や昔男の垣根草
     ふるくさや むかしおとこの かきねぐさ
• 古草    ふるくさ
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（総称）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.204

• 太き道一筋夏の園に在り
     ふときみち ひとすじなつの そのにあり
• 夏    なつ
  季節: 夏（三夏） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.251

• 夏立つや忍に水をやりしより
     なつたつや しのぶにみずを やりしより
• 立夏    りっか
  季節: 夏（初夏） 分類: 時候（暦）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.200

• 日本に帰りて京の初夏の山
     にっぽんに かえりてきょうの しょかのやま
• 初夏    しょか
  季節: 夏（初夏） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.252

• 船と船通話してゐる灯涼し
     ふねとふね つうわしている ひすずし
• 燈涼し    ひすずし
  季節: 夏（三夏） 分類: 時候（感覚）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.416

• 山吹の狂ひ花ある極暑かな
     やまぶきの くるいばなある ごくしょかな
• 極暑    ごくしょ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 時候（感覚）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.439

• 湖や卯月曇のきのふけふ
     みずうみや うづきぐもりの きのうきょう
• 卯月曇    うづきぐもり
  季節: 夏（初夏） 分類: 天文（天空）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.198

• 浅間嶺の蓋まで下り五月雲
     あさまねの ふたまでさがり さつきぐも
• 五月雲    さつきぐも
  季節: 夏（仲夏） 分類: 天文（天空）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.51

• 虹立ちて忽ち君の在る如し
     にじたちて たちまちきみの あるごとし
• 虹    にじ
  季節: 夏（三夏） 分類: 天文（光）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　夏
     p.47

• 空梅雨の島々を見て船は航く
     からつゆの しまじまをみて ふねはゆく
• 空梅雨    からつゆ
  季節: 夏（仲夏） 分類: 天文（水）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.306

• 父老健に喜雨又到る安んぜよ
     ちちろうけんに きうまたいたる やすんぜよ
• 喜雨    きう
  季節: 夏（晩夏） 分類: 天文（水）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.87

• 薬の日法の力に湧き出てゝ
     くすりのひ のりのちからに わきいでて
• 薬の日    くすりのひ
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（行事）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.259

• 袖につく柳の虫や蓮を見る
     そでにつく やなぎのむしや はすをみる
• 蓮見    はすみ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（行事）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.310

• 蠅よけもかぶせて猫は猫板に
     はえよけも かぶせてねこは ねこいたに
• 蠅除    はえよけ
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.342

• 日蔽が出来て暗さと静かさと
     ひおおいが できてくらさと しずかさと
• 日除    ひよけ
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　夏
     p.84

• 夏暖簾垂れて静に紋所
     なつのれん たれてしずかに もんどころ
• 夏暖簾    なつのれん
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.235

• 営々と蠅を捕りをり蠅捕器
     えいえいと はえをとりおり はえとりき
• 蠅捕器    はえとりき
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.341

• 客を待つ夏座布団の小さきが
     きゃくをまつ なつざぶとんの ちいさきが
• 夏座布団    なつざぶとん
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.224

• 母がせし掛香とかやなつかしき
     ははがせし かけこうとかや なつかしき
• 掛香    かけこう
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.293

• 衣紋竹三つ一つに手拭が
     えもんだけ みっつひとつに てぬぐいが
• 衣紋竹    えもんだけ
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.215

• ごろ／＼としたるいつもの革布団
     ごろごろと したるいつもの かわぶとん
• 革布団    かわぶとん
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.377

• 蚊の入りし声一筋や蚊帳の中
     かのいりし こえひとすじや かやのなか
• 蚊帳    かや
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.349

• 露台なる一人の女いつまでも
     ろだいなる ひとりのおんな いつまでも
• 露台    ろだい
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.410

• 水盤や由良の港の舟も無し
     すいばんや ゆらのみなとの ふねもなし
• 水盤    すいばん
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.431

• 竹床几出しあるまゝ掛けるまゝ
     たけしょうぎ いだしあるまま かけるまま
• 竹床几    たけしょうぎ
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.409

• 山寺や少々重き夏蒲団
     やまでらや しょうしょうおもき なつぶとん
• 夏蒲団    なつふとん
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.223

• 引いて来し夜店車をまだ解かず
     ひいてきし よみせくるまを まだとかず
• 夜店    よみせ
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.414

• 客稀に葭簀繕ふ茶屋主
     きゃくまれに よしずつくろう ちゃやあるじ
• 葭簀    よしず
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.378

• 此程の長雨うち晴れ火串かな
     このほどの ながめうちはれ ほぐしかな
• 火串    ほぐし
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.333

• いと薄き繭をいとなむあはれさよ
     いとうすき まゆをいとなむ あわれさよ
• 繭    まゆ
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.261

• 風吹けば来るや隣の鯉幟
     かぜふけば くるやとなりの こいのぼり
• 鯉幟    こいのぼり
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.258

• 編みくゝる麦稈籠や夕明り
     あみくくる むぎわらかごや ゆうあかり
• 麦藁籠    むぎわらかご
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（生活）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.237

• 虫焦げし火花美し虫篝
     むしこげし ひばなうつくし むしかがり
• 虫篝    むしかがり
  季節: 夏（仲夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.322

• 日蔭蝶追うて林間学校へ
     ひかげちょう おうてりんかん がっこうへ
• 林間学校    りんかんがっこう
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.452

• 鞄積み重ねて避暑の宿らしく
     かばんつみ かさねてひしょの やどらしく
• 避暑    ひしょ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（生活）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.187

• もちかへし線香花火のゆれてをる
     もちかえし せんこうはなびの ゆれておる
• 線香花火    せんこうはなび
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.499

• 古井戸に物の音聞く夕すゞみ
     ふるいどに もののおときく ゆうすずみ
• 納涼    すずみ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（生活）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.426

• 川水に銭の落ちたる流しかな
     かわみずに ぜにのおちたる ながしかな
• 新内ながし    しんないながし
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.416

• 苗売の立ちどまりつゝ三声ほど
     なえうりの たちどまりつつ みこえほど
• 苗売    なえうり
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.264

• 開墾の鍬のあとより棉蒔きぬ
     かいこんの くわのあとより わたまきぬ
• 棉蒔    わたまき
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.285

• 老農は茄子の心を知りて植ゆ
     ろうのうは なすのこころを しれてうゆ
• 茄子植う    なすうう
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.265

• 顔そむけ出づる内儀や溝浚へ
     かおそむけ いずるないぎや みぞさらえ
• 溝浚へ    みぞさらえ
  季節: 夏（仲夏） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.301

• 菖蒲引く人沓はいて水辺なる
     しょうぶひく ひとくつはいて みずべなる
• 菖蒲ひく    しょうぶひく
  季節: 夏（仲夏） 分類: 人事（労働）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.311

• 先生が瓜盗人でおはせしか
     せんせいが うりぬすびとで おわせしか
• 瓜番    うりばん
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（労働）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.261

• 松風に醤油つくる山家かな
     まつかぜに しょうゆつくる さんかかな
• 醤油造る    しょうゆつくる
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（労働）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.428

• 夏風邪はなかなか老に重かりき
     なつかぜは なかなかおいに おもかりき
• 夏風邪    なつかぜ
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（健康）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.193

• なく声の大いなるかな汗疹の子
     なくこえの おおいなるかな あせものこ
• 汗疹    あせも
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（健康）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　夏
     p.120

• 何くれと母が思や香薷散
     なにくれと ははがおもいや こうじゅさん
• 香薷散    こうじゅさん
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（健康）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.429

• 桃葉湯丁稚つれたる御寮人
     とうようとう でっちつれたる ごりょうにん
• 桃葉湯    とうようとう
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（健康）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.457