俳人 : 高浜虚子 （たかはま きょし）

• 聞えざる涼み芝居を唯見をり
     きこえざる すずみしばいを ただみおり
• 夏芝居    なつしばい
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（芸術）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.415

• 古びたる鬼の面なり薪能
     ふるびたる おにのめんなり たきぎのう
• 薪能    たきぎのう
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（芸術）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.248

• どかと解く夏帯に句を書けとこそ
     どかととく なつおびにくを かけとこそ
• 夏帯    なつおび
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（衣服）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.376

• 彼の女夏手袋の大ボタン
     かのおんな なつてぶくろの おおぼたん
• 夏手袋    なつてぶくろ
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（衣服）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.377

• 腹当や赤く大きな紋所
     はらあてや あかくおおきな もんどころ
• 腹当    はらあて
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（衣服）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.407

• 丈高き深編笠や人の中
     たけたかき ふかあみがさや ひとのなか
• 編笠    あみがさ
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（衣服）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.391

• 袷着て袂に何もなかりけり
     あわせきて たもとになにも なかりけり
• 袷    あわせ
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（衣服）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　夏
     p.62

• お小姓にほれたはれたや白重
     おこしょうに ほれたはれたや しらがさね
• 白重    しらがさね
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（衣服）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.255

• セルを着て病ありとも見えぬかな
     せるをきて やまいありとも みえぬかな
• セル    せる
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（衣服）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.263

• ひやくひろを通る音ある麦湯かな
     ひゃくひろを とおるおとある むぎゆかな
• 麦茶    むぎちゃ
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（飲食）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.421

• 洗鯉に落つる葭簀の塵不問
     あらいごいに おつるよしずの ちりとわず
• あらひ    あらい
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（飲食）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.150

• 心ゆく許りの二人ソーダ水
     こころゆく ばかりのふたり そーだすい
• ソーダ水    そーだすい
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（飲食）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.152

• 故郷は昔ながらの粽かな
     ふるさとは むかしながらの ちまきかな
• 粽    ちまき
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（飲食）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.259

• 方丈に今とどきたる新茶かな
     ほうじょうに いまとどきたる しんちゃかな
• 新茶    しんちゃ
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（飲食）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.260

• すき嫌ひなくて豆飯豆腐汁
     すききらい なくてまめめし とうふじる
• 豆飯    まめめし
  季節: 夏（初夏） 分類: 人事（飲食）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.275

• 昼過や振舞水に日のあたる
     ひるすぎや ふるまいみずに ひのあたる
• 振舞水    ふるまいみず
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（飲食）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.417

• 或時は谷深く折る夏花かな
     あるときは たにふかくおる げばなかな
• 夏花    げばな
  季節: 夏（三夏） 分類: 宗教（仏教）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.268

• 電車行くそばに祭の町すこし
     でんしゃゆく そばにまつりの まちすこし
• 祭    まつり
  季節: 夏（三夏） 分類: 宗教（神道）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.141

• 打ち晴れし神田祭の夜空かな
     うちはれし かんだまつりの よぞらかな
• 神田祭    かんだまつり
  季節: 夏（初夏） 分類: 宗教（神道）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.249

• 天童に浴みせりけり明日に羽黒
     てんどうに あぶみせりけり あすにはぐろ
• 湯殿詣    ゆどのもうで
  季節: 夏（晩夏） 分類: 宗教（その他）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.383

• 青鵐来て頬白去るや庭の面
     あおじきて ほおじろさるや にわのつら
• 蒿雀    あおじ
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（鳥類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.592

• 羽抜鳥身を細うしてかけりけり
     はぬけどり みをほそうして かけりけり
• 羽脱鳥    はぬけどり
  季節: 夏（晩夏） 分類: 動物（鳥類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.276

• 鯵網や夕汐さやぎ二た処
     あじあみや ゆうじおさやぎ ふたところ
• 鯵    あじ
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（魚類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.336

• 映りたるつゝじに緋鯉現れし
     うつりたる つつじにひごい あらわれし
• 緋鯉    ひごい
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（魚類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.105

• 江戸亡ぶ俎に在り初鰹
     えどほろぶ まないたにあり はつがつお
• 初鰹    はつがつお
  季節: 夏（初夏） 分類: 動物（魚類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.293

• やゝ枯れし秣にとぶや青蛙
     ややかれし まぐさにとぶや あおがえる
• 雨蛙    あまがえる
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（両生類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.312

• 浮み出て我をみてゐるゐもりかな
     うかみでて われをみている いもりかな
• 蠑螈    いもり
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（両生類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.107

• 妹が口海酸漿の赤きかな
     いもがくち うみほおずきの あかきかな
• 海酸漿    うみほおずき
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（貝類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.283

• いためたる羽根立てゝ這ふ羽蟻かな
     いためたる はねたててはう はありかな
• 羽蟻    はあり
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.346

• 蜘蛛の囲の破れしこの径誰が行きし
     くものいの やぶれしこのみち たがゆきし
• 蜘蛛の囲    くものい
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.343

• まくなぎを手に持つもので払ひけり
     まくなぎを てにもつもので はらいけり
• 蠛蠓    まくなぎ
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.346

• 我起居蠅もをり蠅取蜘蛛もをり
     わがきっきょ はえもおりはえとり ぐももおり
• 蠅虎    はえとりぐも
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.342

• 蜘掃けば太鼓落して悲しけれ
     くもはけば たいこおとして かなしけれ
• 袋蜘蛛    ふくろぐも
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.344

• 大蛾きて動乱したる灯虫かな
     たいがきて どうらんしたる ひむしかな
• 蛾    が
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.322

• ががんぼの脚の一つが悲しけれ
     ががんぼの あしのひとつが かなしけれ
• ががんぼ    ががんぼ
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.350

• 止りたる蠅追ふことも只ねむし
     とまりたる はえおうことも ただねむし
• 蠅    はえ
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.341

• 根切虫あたらしきことしてくれし
     ねきりむし あたらしきこと してくれし
• 根切虫    ねきりむし
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.265

• 金亀子擲つ闇の深さかな
     こがねむし なげうつやみの ふかさかな
• 金亀子    こがねむし
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　夏
     p.176

• 蚰蜒を打てば宵々になりにけり
  
• 蚰蜒    げじげじ
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.344

• 玉虫の光残して飛びにけり
     たまむしの ひかりのこして とびにけり
• 玉虫    たまむし
  季節: 夏（晩夏） 分類: 動物（昆虫等）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.477

• わだつみに物の命のくらげかな
     わだつみに もののいのちの くらげかな
• 海月    くらげ
  季節: 夏（三夏） 分類: 動物（水生生物）
• 平井照敏編 新歳時記 夏
     p.202

• 雨の輪も古きけしきや蒲の池
     あめのわも ふるきけしきや がまのいけ
• 蒲    がま
  季節: 夏（三夏） 分類: 植物（イネ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.112

• 水際まで蜘はひ下る細藺かな
     みぎわまで くもはいおりる ほそいかな
• 藺    い
  季節: 夏（三夏） 分類: 植物（イネ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.338

• 唯今只蒲生ふるなり院の池
     ただいまただ がまおうるなり いんのいけ
• 蒲    がま
  季節: 夏（三夏） 分類: 植物（イネ目）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.695

• 瓜苗に竹立てありぬ草の中
     うりなえに たけたてありぬ くさのなか
• 瓜苗    うりなえ
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（ウリ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.264

• メロンにも銀のスプーン主婦好み
     めろんにも ぎんのすぷーん しゅふごのみ
• メロン    めろん
  季節: 夏（晩夏） 分類: 植物（ウリ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.418

• 古里や嫂老いて萵苣の薹
     ふるさとや あによめおいて ちしゃのとう
• 萵苣の花    ちしゃのはな
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（キク目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.242

• 沢水の川となり行く蕗がくれ
     さわみずの かわとなりゆく ふきがくれ
• 蕗    ふき
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（キク目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.218

• 百姓の娘顔よし紅藍の花
     ひゃくしょうの むすめかおよし べにのはな
• 紅の花    べにのはな
  季節: 夏（仲夏） 分類: 植物（キク目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.300

• 辣韮も置きある納屋の這入口
     らっきょうも おきあるなやの はいりぐち
• 辣韮    らっきょう
  季節: 夏（三夏） 分類: 植物（キジカクシ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.141