俳人 : 富安風生 （とみやす ふうせい）

• 淋しさの蚊帳吊草を割きにけり
     さびしさの かやつりぐさを さきにけり
• 蚊帳吊草    かやつりぐさ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 植物（イネ目）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　夏
     p.258

• 籐椅子にペルシヤ猫をるメロンかな
     とういすに ぺるしゃねこおる めろんかな
• メロン    めろん
  季節: 夏（晩夏） 分類: 植物（ウリ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.418

• 夏菊の黃はかたくなに美しき
     なつぎくの きはかたくなに うつくしき
• 夏菊    なつぎく
  季節: 夏（晩夏） 分類: 植物（キク目）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.646

• 司書の眼をときどきあけて紫蘭咲く
     ししょのめを ときどきあけて しらんさく
• 紫蘭    しらん
  季節: 夏（仲夏） 分類: 植物（キジカクシ目）
• 平井照敏編 新歳時記 夏
     p.476

• ネクタイを結ぶときふと罌粟赤し
     ねくたいを むすぶときふと けしあかし
• 罌粟の花    けしのはな
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（キンポウゲ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.224

• 日覆にその日その日の楠落葉
     ひおおおいに そのひそのひの くすおちば
• 樟落葉    くすおちば
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（クスノキ目）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.571

• 靄こめて遠森かくす靫草
     もやこめて とおもりかくす うつぼぐさ
• 靫草    うつぼぐさ
  季節: 夏（仲夏） 分類: 植物（シソ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.274

• こぼるるもくだつも久し柿の花
     こぼるるも くだつもひさし かきのはな
• 柿の花    かきのはな
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（ツツジ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.266

• 柿若葉重なりもして透くみどり
     かいわかば かさなりもして すくみどり
• 柿若葉    かきわかば
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（ツツジ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.202

• 布袋草美ししばし舟とめよ
     ほていそう うつくししばし ふねとめよ
• 布袋草    ほていそう
  季節: 夏（晩夏） 分類: 植物（ツユクサ目）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.693

• 鬼灯の一つの花のこぼれたる
     ほおずきの ひとつのはなの こぼれたる
• 鬼灯の花    ほおずきのはな
  季節: 夏（仲夏） 分類: 植物（ナス目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.300

• 柾を葺く仮宮かなし小町草
     まさきをふく かりみやかなし こまちぐさ
• 虫取撫子    むしとりなでしこ
  季節: 夏（仲夏） 分類: 植物（ナデシコ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.283

• 桑の実のしみ新しき桑籠かな
     くわのみの しみあたらしき くわかごかな
• 桑の実    くわのみ
  季節: 夏（仲夏） 分類: 植物（バラ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.313

• 野牡丹の一と日の命けさあえか
     のぼたんの ひとひのいのち けさあえか
• 野牡丹    のぼたん
  季節: 夏（晩夏） 分類: 植物（フトモモ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.373

• 椎若葉老の乞食に野犬狎れ
     しいわかば おいのこじきに やけんなれ
• 椎落葉    しいおちば
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（ブナ目）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.571

• 若楓枝を平に打重ね
     わかかえで えだをたいらに うちかさね
• 若楓    わかかえで
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（ムクロジ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.267

• 芍薬にはねたる泥のかはきゐる
     しゃくやくに はねたるどろの かわきいる
• 芍薬    しゃくやく
  季節: 夏（初夏） 分類: 植物（ユキノシタ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.223

• よし原のひいき暖簾や菖蒲園
     よしわらの ひいきのれんや しょうぶえん
• 花菖蒲    はなしょうぶ
  季節: 夏（仲夏） 分類: 植物（ユリ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.289

• 盤石に一つ葉ふゆる一つづつ
     ばんじゃくに ひとつばふゆる ひとつずつ
• 一ツ葉    ひとつば
  季節: 夏（三夏） 分類: 植物（羊歯類）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.726

• 八月の桜紅葉を掃けるかな
     はちがつの さくらもみじを はけるかな
• 八月    はちがつ
  季節: 秋（初秋） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.481

• 中元や老受付へこころざし
     ちゅうげんや ろううけつけへ こころざし
• 中元    ちゅうげん
  季節: 秋（初秋） 分類: 時候（暦）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　秋
     p.194

• さり気なく聞いて身にしむ話かな
     さりげなく きいてみにしむ はなしかな
• 身に入む    みにしむ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 時候（感覚）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.28

• 露寒や凛々しきことは美しき
     つゆさむや りりしきことは うつくしき
• 露寒    つゆさむ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 時候（感覚）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.132

• 流星の尾の長かりし湖の上
     りゅうせいの おのながかりし うみのうえ
• 流星    りゅうせい
  季節: 秋（三秋） 分類: 天文（天空）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.92

• 汚れたる雑嚢肩に秋高し
     よごれたる ざつのうかたに あきたかし
• 秋高し    あきたかし
  季節: 秋（三秋） 分類: 天文（天空）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　秋
     p.33

• 古き沼立待月を上げにけり
     ふるきぬま たちまちづきを あげにけり
• 立待月    たちまちづき
  季節: 秋（仲秋） 分類: 天文（天空）
• 平井照敏編 新歳時記 秋
     p.51

• いくたびも無月の庭に出でにけり
     いくたびも むげつのにわに いでにけり
• 無月    むげつ
  季節: 秋（仲秋） 分類: 天文（天空）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.41

• 高黍の門辺に立てば初嵐
     たかきびの かどべにたてば はつあらし
• 初嵐    はつあらし
  季節: 秋（初秋） 分類: 天文（風）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.101

• 杉の秀にわだの翠眉や秋夕焼
     すぎのほに わだのすいびや あきゆやけ
• 秋の夕焼    あきのゆやけ
  季節: 秋（三秋） 分類: 天文（光）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.57

• 秋翳を抱きて霧の火口壁
     しゅうえいを いだきてきりの かこうへき
• 秋の翳    あきのかげ
  季節: 秋（三秋） 分類: 天文（光）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　秋
     p.125

• 庭芝を抉りし径の秋の翳
     にわしばを えぐりしみちの あきのかげ
• 秋の翳    あきのかげ
  季節: 秋（三秋） 分類: 天文（光）
• 増補版 いちばんわかりやすい 俳句歳時記
     p.262

• 秋夕焼旅愁といはむには淡し
     あきゆやけ りょしゅうといわむ にはあわし
• 秋の夕焼    あきのゆやけ
  季節: 秋（三秋） 分類: 天文（光）
• 平井照敏編 新歳時記 秋
     p.66

• 岐れてもまた岐れても花野みち
     わかれても またわかれても はなのみち
• 花野    はなの
  季節: 秋（三秋） 分類: 地理（田畑）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.56

• 劫初よりここに湛へて秋の湖
     ごうしょより ここにたたえて あきのうみ
• 秋の湖    あきのみずうみ
  季節: 秋（三秋） 分類: 地理（水辺）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.145

• 秋興や額に浪逆の浪しぶき
     しゅうきょうや ぬかになさかの なみしぶき
• 秋興    しゅうきょう
  季節: 秋（三秋） 分類: 人事（生活）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　秋
     p.126

• 筧鳴り秋の簾のよき日かげ
     かけいなり あきのすだれの よきひかげ
• 秋簾    あきすだれ
  季節: 秋（三秋） 分類: 人事（生活）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.205

• 夕空のなごみわたれる案山子かな
     ゆうぞらの なごみわたれる かかしかな
• 案山子    かかし
  季節: 秋（三秋） 分類: 人事（生活）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.74

• 雲海にむらさき滲む秋意かな
     うんかいに むらさきにじむ しゅういかな
• 秋意    しゅうい
  季節: 秋（三秋） 分類: 人事（生活）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　秋
     p.126

• この冬をここに越すべき冬用意
     このふゆを ここにこすべき ふゆようい
• 冬支度    ふゆじたく
  季節: 秋（晩秋） 分類: 人事（生活）
• 増補版 いちばんわかりやすい 俳句歳時記
     p.271

• 大空に月を放ちて夜なべ村
     おおぞらに つきをはなちて よなべむら
• 夜なべ    よなべ
  季節: 秋（三秋） 分類: 人事（労働）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.241

• 一瀑の疾く昃れる紅葉狩
     いちばくの とくひかげれる もみじがり
• 紅葉狩    もみじがり
  季節: 秋（晩秋） 分類: 人事（娯楽）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.458

• 家々のはざまの海や海螺回し
     いえいえの はざまのうみや ばいまわし
• 海螺廻し    ばいまわし
  季節: 秋（晩秋） 分類: 人事（娯楽）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.89

• 地芝居のお軽に用や楽屋口
     じしばいの おかるにようや がくやぐち
• 地芝居    じしばい
  季節: 秋（仲秋） 分類: 人事（芸術）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.88

• とろろ汁麹子と書きし昔より
     とろろじる まりことかきし むかしより
• 薯蕷汁    とろろじる
  季節: 秋（晩秋） 分類: 人事（飲食）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.68

• 羽織着て逆髪祭もう寒く
     はおりきて さかがみまつり もうさむく
• 逆髪祭    さかがみまつり
  季節: 秋（晩秋） 分類: 宗教（神道）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.314

• 小鳥来て午後の紅茶のほしきころ
     ことりきて ごごのこうちゃの ほしきころ
• 小鳥    ことり
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（鳥類）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.364

• 今日も見る昨日の道の穴まどひ
     きょうもみる きのうのみちの あなまどい
• 穴まどひ    あなまどい
  季節: 秋（仲秋） 分類: 動物（爬虫類）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.387

• ききそめて松虫のまだ幼な鳴き
     ききそめて まつむしのまだ おさななき
• 松虫    まつむし
  季節: 秋（初秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 平井照敏編 新歳時記 秋
     p.234

• 玲瓏として邯鄲のむくろかな
     れいろうと してかんたんの むくろかな
• 邯鄲    かんたん
  季節: 秋（初秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.143

• 轡虫かすかに遠き寝のやすく
     くつわむし かすかにとおき ねのやすく
• 轡虫    くつわむし
  季節: 秋（初秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 平井照敏編 新歳時記 秋
     p.238