俳人 : 山口誓子 （やまぐち せいし）

• 起重機の手挙げて立てり海は春
     きじゅうきの てあげてたてり うみははる
• 春    はる
  季節: 春（三春） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.73

• 鴉何処までも晩春の茜の中
     からすどこまでも ばんしゅんの あかねのなか
• 晩春    ばんしゅん
  季節: 春（晩春） 分類: 時候（暦）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.242

• 名ある星春星としてみなうるむ
     なあるほし しゅんせいとして みなうるむ
• 春の星    はるのほし
  季節: 春（三春） 分類: 天文（天空）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.41

• みつけしは非番の厨夫蜃気楼
     みつけしは ひばんのちゅうふ しんきろう
• 蜃気楼    しんきろう
  季節: 春（三春） 分類: 天文（光）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.328

• 春苑に七面鳥啼きひと死せり
     しゅんえんに しちめんちょうなき ひとしせり
• 春園    しゅんえん
  季節: 春（三春） 分類: 地理（山野）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.111

• せりせりと薄氷杖のなすままに
     せりせりと うすらいつえの なすままに
• 薄氷    うすらい
  季節: 春（初春） 分類: 地理（水辺）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.133

• 流氷や宗谷の門波荒れやまず
     りゅうひょうや そうやのとなみ あれやまず
• 流氷    りゅうひょう
  季節: 春（仲春） 分類: 地理（水辺）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.145

• 遠足の女教師の手に触れたがる
     えんそくの じょきょうしのてに ふれたがる
• 遠足    えんそく
  季節: 春（三春） 分類: 人事（行事）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.379

• これはさて入学の子の大頭
     これはさて にゅうがくのこの おおつむり
• 入学    にゅうがく
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（行事）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.161

• 流し雛冠をぬいで舟にます
     ながしびな かむりをぬいで ふねにます
• 雛流し    ひなながし
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（行事）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.349

• 鞦韆や舞子の駅の汽車発ちぬ
     しゅうせんや まいこのえきの きしゃたちぬ
• 鞦韆    しゅうせん
  季節: 春（三春） 分類: 人事（娯楽）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.213

• 岩の間に手をさし入れて磯遊び
     いわのまに てをさしいれて いそあそび
• 磯遊    いそあそび
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（娯楽）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.83

• 競漕の空しき艇庫潮さしぬ
     きょうそうの むなしきていこ しおさしぬ
• ボートレース    ぼーとれーす
  季節: 春（晩春） 分類: 人事（スポーツ）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.379

• 誑よと罵らへしひとや義士祭
     たわけよと のらえしひとや ぎしまつり
• 義士祭    ぎしさい
  季節: 春（晩春） 分類: 宗教（仏教）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.166

• 雀の巣われは田草の穂を手にす
     すずめのす われはたぐさの ほをてにす
• 雀の巣    すずめのす
  季節: 春（晩春） 分類: 動物（鳥類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.63

• みだれつつ藁は雀の巣を守る
     みだれつつ わらはすずめの すをまもる
• 雀の巣    すずめのす
  季節: 春（晩春） 分類: 動物（鳥類）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.374

• どんよりと利尻の富士や鰊群来
     どんよりと りしりのふじや にしんくき
• 鯡    にしん
  季節: 春（三春） 分類: 動物（魚類）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.140

• 蜥蜴出て新らしき家の主眄たり
     とかげでて あたらしきいえの しゅをえたり
• 蜥蜴穴を出づ    とかげあなをいず
  季節: 春（仲春） 分類: 動物（爬虫類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.180

• しづかにも大木の幹蜂離れ
     しずかにも たいぼくのみき はちはなれ
• 蜂    はち
  季節: 春（三春） 分類: 動物（昆虫等）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　春
     p.148

• 初蝶の遠きところを過ぎつつあり
     はつちょうの とおきところを すぎつつあり
• 初蝶    はつちょう
  季節: 春（仲春） 分類: 動物（昆虫等）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.178

• 蟻穴を出でておどろきやすきかな
     ありあなを いでておどろき やすきかな
• 蟻穴を出づ    ありあなをいず
  季節: 春（仲春） 分類: 動物（昆虫等）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.180

• 強風に吹かれて麦と吾青し
     きょうふうに ふかれてむぎと われあおし
• 青麦    あおむぎ
  季節: 春（三春） 分類: 植物（イネ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.106

• 俎の蓬を刻みたるみどり
     まないたの よもぎをきざみ たるみどり
• 蓬    よもぎ
  季節: 春（三春） 分類: 植物（キク目）
• 平井照敏編 新歳時記 春
     p.382

• 猫柳高嶺は雪をあらたにす
     ねこやなぎ たかねはゆきを あらたにす
• 猫柳    ねこやなぎ
  季節: 春（三春） 分類: 植物（キントラノオ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.141

• 遅れ咲きいまの落花に加はらず
     おくれざき いまのらっかに くわわらず
• 落花    らっか
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（バラ目）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　春
     p.147

• 枝垂桜垂れて疎水の水にまで
     しだれざくら たれてそすいの みずにまで
• 枝垂桜    しだれざくら
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（バラ目）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　春
     p.143

• 喪の花環ミモザをはじめ既に萎ゆ
     ものはなわ みもざをはじめ すでになゆ
• ミモザ    みもざ
  季節: 春（初春） 分類: 植物（マメ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.140

• 苜蓿や墓のひとびと天に帰せり
     くろーばや はかのひとびと てんにきせり
• 苜蓿    うまごやし
  季節: 春（仲春） 分類: 植物（マメ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.156

• 伊賀上野蘇芳の花を以て古ぶ
     いがうえの すおうのはなを もてふるぶ
• 紫荊    はなずおう
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（マメ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.276

• 山茱萸をいまの齢のよしとする
     さんしゅゆを いまのよわいを よしとする
• 山茱萸の花    さんしゅゆのはな
  季節: 春（初春） 分類: 植物（ミズキ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.141

• 花楓新婚のふたり椅子に揺れ
     はなかえで しんこんのふたり いすにゆれ
• 楓の花    かえでのはな
  季節: 春（晩春） 分類: 植物（ムクロジ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.279

• 岩窪に深き海ある黒芽かな
     いわくぼに ふかきうみある くろめかな
• 黒布    くろめ
  季節: 春（三春） 分類: 植物（藻類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.97

• 黒菜あり青きひかりの魚族あり
     くろめあり あおきひかりの ぎょぞくあり
• 黒布    くろめ
  季節: 春（三春） 分類: 植物（藻類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.97

• 海苔搔きて森より帰り来るごとし
     のりかきて もりよりかえり くるごとし
• 岩海苔    いわのり
  季節: 春（初春） 分類: 植物（藻類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　春
     p.150

• この町を愛せば駅の土手青む
     このまちを あいせばえきの どてあおむ
• 下萌    したもえ
  季節: 春（初春） 分類: 植物（総称）
• 平凡社 俳句歳時記 春
     p.573

• 六月のゆふべや肩に道具箱
     ろくがつの ゆうべやかたに どうぐばこ
• 六月    ろくがつ
  季節: 夏（仲夏） 分類: 時候（暦）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.258

• 七月の青嶺まぢかく溶鉱炉
     しちがつの あおねまぢかく ようこうろ
• 七月    しちがつ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 時候（暦）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.381

• 帆を以て帰るを夏のゆふべとす
     ほをもって かえるをなつの ゆうべとす
• 夏の夕    なつのゆう
  季節: 夏（三夏） 分類: 時候（時間）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.25

• 炎ゆる海わんわんと児が泣き喚き
     もゆるうみ わんわんとこが なきわめき
• 炎ゆる    もゆる
  季節: 夏（晩夏） 分類: 時候（感覚）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.339

• 熱砂ゆく老婆の声もせずなれり
     ねっさゆく ろうばのこえも せずなれり
• 灼くる    やくる
  季節: 夏（晩夏） 分類: 時候（感覚）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.338

• 朝焼や聖マリヤの鐘かすみ
     あさやけや さんたまりあの かねかすみ
• 朝焼    あさやけ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 天文（光）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.335

• 夕焼けて西の十万億土透く
     ゆうやけて にしのじゅうまん おくどすく
• 夕焼    ゆうやけ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 天文（光）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.98

• 片陰となりて梯の立てりけり
     かたかげと なりてはしごの たてりけり
• 片蔭    かたかげ
  季節: 夏（晩夏） 分類: 天文（光）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.106

• 大いなる青峯の下最上川
     おおいなる せいほうのした もがみがわ
• 青嶺    あおね
  季節: 夏（三夏） 分類: 地理（山野）
• 新潮文庫 新改訂版 俳諧歳時記 夏
     p.63

• 腰たるき百姓歩む代田べり
     こしたるき ひゃくしょうあゆむ しろたべり
• 代田    しろた
  季節: 夏（初夏） 分類: 地理（田畑）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.234

• 夏の河赤き鉄鎖のはし浸る
     なつのかわ あかきてっさの はしひたる
• 夏の川    なつのかわ
  季節: 夏（三夏） 分類: 地理（水辺）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.89

• 夏の潮青く船首は垂直に
     なつのしお あおくせんしゅは すいちょくに
• 夏の潮    なつのしお
  季節: 夏（三夏） 分類: 地理（水辺）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　夏
     p.56

• この町の電車をかしや山開
     このまちの でんしゃおかしや やまびらき
• 山開    やまびらき
  季節: 夏（晩夏） 分類: 人事（行事）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　夏
     p.328

• 影となりて茶屋の葭簀の中にをる
     かげとなりて ちゃやのよしずの なかにおる
• 葭簀    よしず
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 平凡社 俳句歳時記 夏
     p.234

• 籐椅子や海の傾き壁をなす
     とういすや うみのかたむき かべをなす
• 籐椅子    とういす
  季節: 夏（三夏） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.379