俳人 : 山口誓子 （やまぐち せいし）

• 梶鞠や金の菖蒲を書きし袖
     かじまりや きんのしょうぶを かきしそで
• 梶毬    かじまり
  季節: 秋（初秋） 分類: 人事（行事）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.485

• 鰯船火の粉散らして闇すすむ
     いわしぶね ひのこちらして やみすすむ
• 鰯引    いわしひき
  季節: 秋（三秋） 分類: 人事（労働）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.86

• 海螺打てる童の帯のゆるみをり
     ばいうてる わらべのおびの ゆるみおり
• 海螺廻し    ばいまわし
  季節: 秋（晩秋） 分類: 人事（娯楽）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.606

• とろろ汁吾に齢の高さなし
     とろろじる われによわいの たかさなし
• 薯蕷汁    とろろじる
  季節: 秋（晩秋） 分類: 人事（飲食）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.261

• 定家忌へまかる左手の皇居かな
     ていかきへ まかるゆんで のこうきょかな
• 定家忌    ていかき
  季節: 秋（仲秋） 分類: 宗教（忌日）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　秋
     p.260

• 去来忌や蝕み古き弓の弦
     きょらいきや むしばみふるき ゆみのつる
• 去来忌    きょらいき
  季節: 秋（晩秋） 分類: 宗教（忌日）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　秋
     p.361

• われありと思ふ鵙啼き過ぐるたび
     われありと おもうもずなき すぐるたび
• 鵙    もず
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（鳥類）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.126

• 鶫死して翅拡ぐるに任せたり
     つぐみしして はねひろぐるに まかせたり
• 鶫    つぐみ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 動物（鳥類）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.126

• 暮色濃く鰯焼く香の豊かなる
     ぼしょくこく いわしやくかの ゆたかなる
• 鰯    いわし
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（魚類）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.135

• 鍛冶の火に鰭焼くと見て過ぎつ
     かじのひに このしろやくと みてすぎつ
• 小鰭    こはだ
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（魚類）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　秋
     p.98

• かりかりと蟷螂蜂の皃を食む
     かりかりと とうろうはちの かおをはむ
• 蟷螂    とうろう
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.146

• 秋の蚊を払ふかすかに指に触れ
     あきのかを はらうかすかに ゆびにふれ
• 秋の蚊    あきのか
  季節: 秋（三秋） 分類: 動物（昆虫等）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.137

• 杖にして主婦が買ひ来し砂糖黍
     つえにして しゅふがかいきし さとうきび
• 甘蔗    さとうきび
  季節: 秋（仲秋） 分類: 植物（イネ目）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　秋
     p.248

• 南瓜の葉紙か何かのごとく踏む
     かぼちゃのは かみかなにかの ごとくふむ
• 南瓜    かぼちゃ
  季節: 秋（三秋） 分類: 植物（ウリ目）
• 平井照敏編 新歳時記 秋
     p.322

• つきぬけて天上の紺曼珠沙華
     つきぬけて てんじょうのこん まんじゅしゃげ
• 曼殊沙華    まんじゅしゃげ
  季節: 秋（仲秋） 分類: 植物（キジカクシ目）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.214

• 鬼灯を地にちかぢかと提げ帰る
     ほおずきを ちにちかじかと さげかえる
• 鬼灯    ほおずき
  季節: 秋（初秋） 分類: 植物（ナス目）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.404

• ゐのこづちひとのししむらにもすがる
     いのこずち ひとのししむら にもすがる
• いのこづち    いのこずち
  季節: 秋（三秋） 分類: 植物（ナデシコ目）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　秋
     p.190

• 無花果を食ふ百姓の短かき指
     いちじくを くうひゃくしょうの みじかきゆび
• 無花果    いちじく
  季節: 秋（晩秋） 分類: 植物（バラ目）
• 平凡社 俳句歳時記 秋
     p.477

• 九年母や土傷つくる馬の蹄
     くねんぼや つちきずつくる うまのつめ
• 九年母    くねんぼ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 植物（ムクロジ目）
• 増補版 いちばんわかりやすい 俳句歳時記
     p.333

• 櫨紅葉見てゐるうちに紅を増す
     はぜもみじ みているうちに べにをます
• 櫨紅葉    はぜもみじ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 植物（ムクロジ目）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.165

• 海荒れに栴檀の実の落ちやまず
     うみあれに せんだんのみの おちやまず
• 栴檀の実    せんだんのみ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 植物（ムクロジ目）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　秋
     p.170

• 妹と行けば漆の紅葉径に斜
     いもとゆけば うるしのもみじ みちにななめ
• 漆紅葉    うるしもみじ
  季節: 秋（晩秋） 分類: 植物（ムクロジ目）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.638

• 竜胆の花踏まれあり狩の場
     りんどうの はなふまれあり かりのにわ
• 龍胆    りんどう
  季節: 秋（仲秋） 分類: 植物（リンドウ目）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.399

• 機関車の寒暮炎えつつ湖わたる
     きかんしゃの かんぼもえつつ うみわたる
• 冬の夕    ふゆのゆう
  季節: 冬（三冬） 分類: 時候（時間）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　冬
     p.29

• 月光は凍りて宙に停れる
     げっこうは こおりてちゅうに とどまれり
• 凍る    こおる
  季節: 冬（三冬） 分類: 時候（感覚）
• 平井照敏編 新歳時記 冬
     p.31

• 悴みて囚徒抗ふこともなし
     かじかみて しゅうとあらがう こともなし
• 悴む    かじかむ
  季節: 冬（晩冬） 分類: 時候（感覚）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.44

• 寒昴天のいちばん上の座に
     かんすばる てんのいちばん かみのざに
• すばる    すばる
  季節: 冬（三冬） 分類: 天文（天空）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　冬
     p.314

• 列柱に寒オリオンの三つの星
     れっちゅうに かんおりおんの みつのほし
• オリオン    おりおん
  季節: 冬（三冬） 分類: 天文（天空）
• 新版 角川俳句大歳時記 冬
     p.94

• 冬の雷家の暗きに鳴り籠る
     ふゆのらい いえのくらきに なりこもる
• 寒雷    かんらい
  季節: 冬（晩冬） 分類: 天文（天空）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　冬
     p.45

• 寒月に水浅くして川流る
     かんげつに みずあさくして かわながる
• 寒月    かんげつ
  季節: 冬（晩冬） 分類: 天文（天空）
• 平凡社 俳句歳時記 冬
     p.63

• 海に出て木枯帰るところなし
     うみにでて こがらしかえる ところなし
• 凩    こがらし
  季節: 冬（初冬） 分類: 天文（風）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.488

• 樹氷凝る汝は何の木と知れず
     じゅひょうこる なんじはなんの きとしれず
• 樹氷    じゅひょう
  季節: 冬（晩冬） 分類: 地理（山野）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　冬
     p.45

• 冬河に新聞全紙浸り浮く
     ふゆかわに しんぶんぜんし つかりうく
• 冬の川    ふゆのかわ
  季節: 冬（三冬） 分類: 地理（水辺）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　冬
     p.56

• 鷺とんで白を彩とす冬の海
     さぎとんで しろをいろとす ふゆのうみ
• 冬の海    ふゆのうみ
  季節: 冬（三冬） 分類: 地理（水辺）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.520

• 氷海やはやれる橇にたわむところ
     ひょうかいや はやれるそりに たわむところ
• 氷海    ひょうかい
  季節: 冬（晩冬） 分類: 地理（水辺）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　冬
     p.341

• 凍港や旧露の街はありとのみ
     とうこうや きゅうろのまちは ありとのみ
• 凍港    とうこう
  季節: 冬（晩冬） 分類: 地理（水辺）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　冬
     p.341

• くらがりに七賢人の屏風かな
     くらがりに しちけんじんの びょうぶかな
• 屏風    びょうぶ
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（生活）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.719

• 暖房や株主集ふ椅子を置く
     だんぼうや かぶぬしつどう いすをおく
• 暖房    だんぼう
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（生活）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.535

• 音たてて落つ白銀の木の葉髪
     おとたてて おつはくぎんの このはがみ
• 木の葉髪    このはがみ
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（生活）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.487

• 学問のさびしさに堪へ炭をつぐ
     がくもんの さびしさにたえ すみをつぐ
• 炭    すみ
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（生活）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.530

• 餅搗し家ありすでに音ひそめ
     もちつきし いえありすでに おとひそめ
• 餅搗    もちつき
  季節: 冬（仲冬） 分類: 人事（生活）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　冬
     p.61

• 野の枯れに縄とびはげし縄見えず
     ののかれに なわとびはげし なわみえず
• 縄飛び    なわとび
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（娯楽）
• 平凡社 俳句歳時記 冬
     p.189

• 探梅や遠き昔の汽車に乗り
     たんばいや とおきむかしの きしゃにのり
• 探梅    たんばい
  季節: 冬（晩冬） 分類: 人事（娯楽）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.597

• スケートの紐むすぶ間も逸りつゝ
     すけーとの ひもむすぶまも はやりつつ
• スケート    すけーと
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（スポーツ）
• 文藝春秋 最新俳句歳時記　冬
     p.366

• 病名を知りぬ廻套に身を裏む
     びょうめいを しりぬまわしに みをつつむ
• 二重廻    にじゅうまわし
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（衣服）
• 平凡社 俳句歳時記 冬
     p.255

• 冬服の衣嚢が深く手を隠す
     ふゆふくの かくしがふかく てをかくす
• 冬服    ふゆふく
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（衣服）
• 角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記　冬
     p.71

• おでん屋の酒のよしあし言ひたもな
     おでんやの さけのよしあし いいたもな
• おでん    おでん
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（飲食）
• 虚子編 新歳時記　増訂版
     p.699

• 鋤焼の香が頭髪の根に残る
     すきやきの まいのけの ねにのこる
• 鋤焼    すきやき
  季節: 冬（三冬） 分類: 人事（飲食）
• 平井照敏編 新歳時記 冬
     p.160

• 雪の上に魂なき熊や神事すむ
     ゆきのうえに たまなきくまや しんじすむ
• 熊祭    くままつり
  季節: 冬（仲冬） 分類: 宗教（その他）
• 角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記　冬
     p.128

• 熊の子が飼はれて鉄の鎖舐む
     くまのこが かわれててつの くさりなむ
• 熊    くま
  季節: 冬（三冬） 分類: 動物（哺乳類）
• ハンディ版 入門歳時記 新版
     p.516